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2012年2月18日 (土)

デンマークのクライム・ドラマ「The Killing/キリング」が面白い

1月からCSで放送しているデンマークのドラマ「The Killing/キリング」が面白くてハマってる

放送開始は2007年。放送開始直後から、本国デンマークでは人気を博し、国民の3人に1人が見ているほどの視聴率を記録。さらにヨーロッパ各地で放送され、ついには2011年英国BBCで放送。字幕付きの放送だったそうだが、これまた大ヒットで、BAFTAでも賞をとったそうな。まぁ、詳しいことは現在放映中のCSの海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」の作品紹介を見ていただきたい。

「ドラゴンタトゥーの女」といい、ほんとに最近は北欧ミステリがすごいのね、と思わされる。

ちなみにアメリカでは、本作をリメイクして、「THE KILLING ~闇に眠る美少女~」なる作品を放映し、エミー賞6部門ノミネートという快挙をとげているというが・・・こちらは、アメリカって最近はほんとにリメイク大国よね、と思わされる話だ。なんで、よその国の作品をありのままで鑑賞できんのだろう。謎だ。(ちなみにこのリメイク版はFOXTVで放映中であるが、FOXは見られない自分は見ていない。いつか見比べてみたいものだ)

で、そのデンマーク発のクライム・ドラマ「THE KILLING/キリング」であるが、いい!実にいい!(原題の”Forbrydelsen”とは、デンマーク語で『犯罪』の意味だそうだ)

パッと見、英国ものと見まごうテイストである。
ナイスバディでやたらキラキラしい美人が出てくるアメリカ調の演出もなく、俳優陣は地味でも堅実な演技を見せる。デンマーク俳優って全然わからないんだけど、少なくともこのドラマを見た限りでは、米英に見劣りしない才能にあふれている印象を受ける。海外ドラマにアメリカ調の派手さを求める向きには物足りないだろうが、手堅い地味さを好むむきにはうってつけだといえる。

一番英国的と感じさせるのは、鈍く曇った北欧特有の空だろうか。
この鈍色の空景はアメリカにはない(アラスカとか真冬のNYとかだったら別だけど)。
劇中、なんども、コペンハーゲンの街の景色が挿入されるが、それが大きく空を見せる撮り方なのだ。ドラマの場面と、時々刻々と変わる空模様とが、実にマッチしていて、いい。

ドラマは「ツイン・ピークス」の再来という惹句がついてるが、確かに、女子高生の悲惨な死体発見から開幕するところは、それに似てるかなと思う。だが、最終的に、超自然的ななにかが人間に作用して悪をなさしむるというのが骨子だった「TP」と比して、キリングには今のところ、そんなスーパーナチュラルなものは感じられない。

でも、ひとつの殺人事件が発端になって、平穏と思っていた日常が一皮むかれ、隠されていた秘密と、醜悪さがあらわになるという構造は同じと見た。

ドラマは、3つの軸に沿って展開している。

まずは、捜査にあたる警察
バツイチ子持ちの女刑事サラ・ルンドは、スウェーデン人のBFとの新たな生活を控え地元警察を辞めるはずだった。ところがその最終日、事件が起こり、彼女の人生設計は狂い始める・・・ようだ。息子は新生活をしぶり、後任の刑事は無謀な捜査を平気でする浅慮者、しかし上司や現場の連中は自分を頼りにしてくれている。捜査すればするほど事件は一筋縄ではいかないことが見えてくる。その事件うっちゃって彼女は警察を去るのか。それで捜査はうまくいくのか、息子は理解してくれるのか。それとも彼女の新生活はおじゃんになるのか。

次に、被害者の遺族
どんな理由であれ子供に先立たれた親はつらい。しかも、自慢の娘がレイプ・監禁・さらに生きながらに溺れ死んだと聞かされた日にゃ・・・つらい事実に直面する両親が実にリアルだ。特に娘を失ったダメージがじわじわと大きくなってる母親が切ない。彼女が壊れるのが先か、真相が明らかになるのが先か。

最後に、政治家だ。
舞台となる市では市長選を控えて選挙戦の真っただ中。その若き市長候補のハートマンが、今度の事件に巻き込まれ、選挙活動に影響がでる。しかも彼は市の教育政策にも関与しており、捜査はどこまでも彼を揺さぶる。果たして彼はついてないだけなのか、それとも、事件に関与しているのか。彼は巻き込まれるべくして巻き込まれているのか。そもそも彼は市長になれるのか、それとも政治生命を失ってしまうのか。

この若き政治家トロールス・ハートマン役の役者ラールス・ミッケルセンがいい味だしている。
野心ある若き政治家として、いかにも能力がありそうな、そして無党派層(特に女性たち)をトリコにしそうな、色気のある目つきをしている。

その目つきが、有能な捜査官である女刑事サラ・ルンド役のソフィー・グローベールのまなざしのまっすぐさと好対照なのだ。

サラ・ルンドもいいのだなあ。
はっきりいって、刑事としてこれほど厚遇されている女刑事は初めてかもしれない。上司や捜査陣からも信が厚そうで、女だからと軽んじられているところをみたことがない。実に働きやすそうな職場だと思う。あの職場を捨てて、新天地にいくなんて勿体ない、と思ってしまう。何よりサラは仕事熱心だ。ガリガリバリバリ、はたの迷惑顧みず、というタイプではない。ブルドーザーのようなタイプを想像していると肩透かしを食うだろう。だが、泣き言をいわず、淡々と、五感をフル活用して捜査にあたっているところは、よく訓練された警察犬を思わせる。いや、犬に例えるなんて、失礼かもしれないが。

このドラマについて特筆すべきことは、スーパー!ドラマTVの作品解説でも触れられているが、事件発生から解決までの20日間を、20話かけて描くという点。

つまり、1話、1日なのである。これは、あまたのミステリドラマで、従来になかった描き方ではなかろうか。20話という話数も、いわゆるシーズン制と違っている。デンマークならではものなのか、それとも、この作品だけなのかわからないが、

実際のところ、こんな事件が起きて、たった20日で解決するのか?と思う一方で、20話でじっくり描かれる物語に興味津々である。

放送はまだ5話。まだまだ間に合う。次回6話の放送は、20日月曜の夜11時だ。

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