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2012年9月 6日 (木)

深夜テレビで「隣のヒットマン」を観る

先週の土曜日、テレビをつけっぱなしにしていたら、深夜シネマということで「隣のヒットマン」が始まった。ブルース・ウィリス主演の娯楽作である。

さて、この作品、劇場に見に行ったかどうか・・・初見だったろうか。恐らく初見だろうと思う。だが、初めて見たような気がしない。

オチが予測できるストーリーというものは、普通デキが悪いことの別の言い方だ。だが最近は別の側面があるような気がしてきた。それはつまり、安心して観ていられるということである。新鮮な驚きはないかもしれない。だが、娯楽映画において、安心して観られるというのは、大事なことなのではなかろうか。

私はけっしてこの話を、100年に一度の傑作!だの、パーフェクトな名作!だのといって持ち上げることはしない。そういう作品も勿論必要だ。だからこそ映画はアートとして切磋琢磨し人々の魂を打つことができる。だが、映画は人々に寄り添うパートナーであってもほしい。特に何も予定のない夜、居間で寛いで眺めていられる作品もまた必要だと思う。そしてこの作品はまぎれもなく後者だ。

ほんとうに、特に何をするでもなく目がさえてしまって寝付けない深夜に眺めるにはうってつけの作品だ。とても気楽に、寛いで、時に笑い声を上げさせられつつ、最後まで楽しんでみることが出来た。

いいなと思ったのは、問題のヒットマンを演じたブルース・ウィリスの目。穏やかそうな表情の元でも、目が笑っていない。映画はしばしば彼の顔をアップにしていたが、その目元のなんとも剣呑なこと! マフィア御用達の殺し屋として17人を殺してきた男というのがなるほど納得できる目であった。

それに相対するのがマシュー・ペリー。殺し屋にすら殺しを躊躇されるほどの善人で、ブルース扮する殺し屋の言動に目を白黒しっぱなしの歯科医を好演していた。まぁ、他の出演作を観たことがないので、どんな演技ができるのかわからないけど、この役についてははまり役だと思う。ほんとに微笑ましい好人物だった。

先ほど、傑作だと褒めちぎるつもりはないと書いたけど、彼が歯科医だということが終盤キッチリ活かされている脚本は秀逸♪

主要なキャラを務める役者たちもいい。
敵かと思えばブルースの仲間だった殺し屋にマイケル・クラーク・ダンカン。歯科医のろくでなしの妻にロザンナ・アークウェット。ブルースの妻にナターシャ・ヘンストリッジ。

このロザンナとナターシャの対比も実にいい。
歯科医の娘で、歯科医の妻という、本来ならもっときちんとしていて当然の氏素性の女性が、ろくでなしで、保険金目当てに夫を殺そうと殺し屋を捜し求める。殺し屋にいうことを聞かせるためなら寝ることも、もちろん車中でおクチでサービスも厭わない。その安っぽさ。そして、本物の悪の実力行使を目の当たりにしたとき、恐怖で声を上げて逃げるその姿の浅ましさ。こういう身勝手で身も蓋もない女を演じさせたらロザンナの右に出るものはいないような・・・。
これに対して、ナターシャ演じる殺し屋の妻のなんと端正なことだろう。出自こそ田舎者のようなことをいっているが、殺し屋の妻となりマフィアの世界で揉まれた結果、洗練され、しかも肝も座っているときたもんだ☆ 今回、しみじみとナスターシャを眺めて思ったが、この人は、実にクラシックな美女なのだなあ。映画の中の衣装やヘアスタイルのせいもあるだろうが、なんだか50年代ハリウッド美女が蘇ったかのようだった。ナスターシャというとついつい「スピーシーズ」の印象が強いけど、いやいやどうして、この人は実に端正だ。

とにかく、ロザンナとナスターシャ、二人の演じる女性がどこまでも対照的で面白かった。

この二人とまた異なった個性的な美女を演じるのが、アマンダ・ピート。歯科医の助手でありながら、とんでもなく破天荒で頓狂な言動をするなあと思っていたら、正体はかけだしの殺し屋であったという・・・彼女がブルースとダンカンに協力してとった、文字通りの一肌脱ぐというのが、すばらしい。そんなことをしても、嫌らしくなく、コケッティーに感じさせてくれる魅力的なフラッパーであった。

とにかく、この作品は気楽に見よう。気楽にたのし~く。難しいこと考えず、ポテチかなんかかボリボリ音立てながら! けっして「なんだ、つまんね、金返せ」とかいうことはないと思う。2時間愉しく過ごす、格好の供になってくれるはずだ。

【追記】ということを書いていたら、週明け、マイケル・クラーク・ダンカンの訃報が飛び込んできた。あの、巨漢に似合わぬ、くしゃくしゃっとした笑顔が、もう見られないのかと思うと・・・いまはただ、故人の冥福をお祈りするのみである。RIP,マイケル!

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