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2013年7月 6日 (土)

「4522敗の記憶~ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史」

いま、大洋・横浜ファンのみならず、プロ野球ファンの間で話題になっているノンフィクション、村瀬秀信著「4522敗の記憶~ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史」を読了する。

* * *

いやあ・・・

面白かった。

こんなにノンフィクションが面白かったのは、アンディ・サマーズの自叙伝「ONE TRAIN LATER」(「アンディ・サマーズ自伝ポリス全調書」なんて邦題は意地でも使ってやらんw)以来だ。

読んだ人のツィートによれば「涙なしには読めない」とかっていうのが多いんだけど、いやいや、2ページに一度、いやいや、下手をすると、2行に一度大笑いさせられるフレーズがあって、

この、自分がファンをしている球団の、4522敗という、日本プロ野球史上最多負け数をタイトルに冠して、98年栄光の優勝から、その前後に渡って、丹念に、この球団の暗部を綴っていくノンフィクションを読みながら、笑えるというのは、自分でも随分な態度だな、と思う。とりわけ、21世紀に入ってからの、セリーグ最下位が定位置になってしまった時代のくだりは、辛い。確かに、悲しき球団史なのである。

それにも拘らず、やっぱり、筋金入りの大洋・横浜ファンならではの、長年の習い、どこか諧謔的なことをいわずにはおれない、この精神。あ~、村瀬さん、流石です!そこに自分も反応してしまうんです!性(サガ)です!

悲劇は悲劇として捉えつつ、ファンと、スポーツジャーナリストの間を、行きつ戻りつしながら、この球団の歴史を綴る。ファンと、ジャーナリストとの間だけではない、筆者が辿ったであろう、歓喜と絶望の間、熱狂と虚無との間をも、読者は追体験することになる。

ある程度の年齢の人は、この時間をある程度、共有しているはずだ。

私のように、80年代に、TVKの中継などで、なんとなく大洋ホエールズから見知っている者、98の熱狂をリアルタイムで体験している者もいるだろうし、

その後の、21世紀ゼロ年代の、悲惨な時代のベイスターズしか知らない者も、

それぞれが、それぞれのフレームで切り取った球団の思い出があるはずである。

例え、ファンでなくっても・・・。

それを思い出し、心の中に蘇る、それぞれの時代の写真をなぞりながら、その時々、実は球団の内に外に、何が起こっていたか、確かめるのもいいだろう。

* * *

冒頭に、アンディ・サマーズの自叙伝のことを引き合いにだしたが、あれは、アンディの自叙伝であって、その語りだしは彼の人生の始まりからであった。彼には長きにわたる音楽のキャリアがあり、ポリスは、そのキャリアの一部にすぎないのである。だが、しかし、アンディの筆は、あのポップ音楽史に燦然と輝くポリスの時代をやはり相当のボリュームをもって語り、最後、なお「このバンドで出来ることがあったはずだ」と語る。それを未練と嘲る人がいるかもしれないが、私には、アンディが自身もっとも遣り甲斐のあったメンバーとの仕事をほんとうに大切に思っているのだと痛烈に感じられた。

畢竟、アンディのあの本には、ポリスという素晴らしき存在、それが失われ、二度と戻らないことへの限りない哀切がある。

それと同じことを、この「4522敗の記憶」にも感じる。

とりわけ、自分のように栄光の98戦士を堪らなく惜しむ人間には、そこが、全く同じに感じられる。本書の中で触れられているが、栄光の98戦士たちが、球団からどんな扱いを受けたか。星が一つまた一つ消えるように彼らがいなくなってしまい、あるものは、他球団ユニフォームで引退し、あるものは、横浜にいたことすら忘れられて他球団の生え抜きのように語られてしまうことへの、堪らない哀切。

それは、失われたバンド、ザ・ポリスと本当に近しい。

どんなにファンが願っても、あるいは奇跡が起きて、今年CSに横浜がでて下手したら優勝しちゃったりしても、栄光は復するかもしれないが、それでも散り散りになってしまった功労者のことは、もうどうにも出来ない。彼らが、その折々に味わったであろう、苦々しさ、それをなかったことには出来ないだろう。

それにしても、ほんとに、98戦士たちと、ポリスの3人は似ていると想わされる。
98戦士達の先輩格・高木豊氏は、彼らを称して「個性的で力のある一匹狼的な人間が多かった」と語っている。「一匹狼の集団なんだけど、本気になって『この試合を獲りにいく』となった時の団結力が凄まじかった」
ポリスの5枚目「シンクロニシティー」は、メンバー3人がバラバラであったときに録音された。製作中のスタジオでは、スチュのドラムの録音を聞いたスティングが激昂し、全て消してしまったというとんでもない逸話も残っている。しかし、出来上がったアルバムはポリス史上最高傑作。勿論、ライブも最高。
ベイのほうも、98戦士の頃は、野手と投手で、練習中はとんでもない緊張状態にあったことが本書で記されている。それでも試合になると最高・・・ううむ。やはり似ている(@@;

* * *

筆者は、この本を書くに当たって、現役選手、OB選手、歴代監督・コーチ、球団社長など、総勢34名の関係者に取材をし、随所に、その発言を引いている。恐らく、関係者の、最新の発言である。その中でも、やはり、一番、読んでて苦しくなるのは、98優勝戦士たちの言葉だ。中でも横浜を出て行って、今も現役で活躍している谷繁の発言には、喉が詰まりそうだ。ああ、98戦士たちの背中を知っていて、ホークスへ去った内川の言葉も、やはり辛い。

勿論、生え抜きとして残っているエース三浦の「誰も予想していないところから、横浜が優勝するようにもっていきたい」という言葉も忘れちゃいけない。彼の、今期の踏ん張りを見れば、その想いが本物であることがわかる。コレを聞いて「横浜が優勝~?」という奴がいたらグーでパンチしてやる。

みんな、大なり小なり、ベイスターズを想ってる・・・去った選手でさえも。
この想い・・・なんということだろう。

それだけの想いを抱かせるものがある。
ファンの欲目かもしれないが、本当に、横浜のあの球団には、魅力があるのだ。

この本の終盤、第7章で登場するDeNAの球団社長・池田純氏の話は、この球団への希望を感じさせてくれる。池田社長、まだ35歳だそうだ(@@;。春日オーナーも若いけど、コチラも若い。
なんと、この人、横浜育ちなんだそうだ。
ファンであったら仕事にならないと考えるので、今はファンじゃない、と自己定義しているそうだ。
この、ちょっと理屈っぽい考え方というか姿勢、すごくハマっ子らしいと想う(^^)

ハマっこの、ハマっこによる、ハマっこの為の球団。

残念ながら、九州・福岡の人々が示すホークス愛を見慣れていると、この点では、ベイスターズはまだまだ遠く及ばないと思わざるを得ない。98優勝後、黄金期を築けなかったことが大きいだろう。また、人懐っこく、あけっぴろげで、本当にいい人たちである福岡・博多の衆だからこその、あの愛情の示し方であろうとも思う。そこは、ちょっとクールで天邪鬼なハマっ子とは気質から違う。だから、なかなか難しいことだろうなとは思うが、いずれは、ハマっ子が、斜に構えつつも照れくさそうにしながら、真実の意味で、ベイスターズ愛を示せる日が来ればいい。

そして、その中に、自分のように、ハマを転出してしまった人間も加えてもらえるだろうか。
ハマを離れている人間でも、ベイスターズを想うことを許してもらえるだろうか。

失われて、もう戻らないものの輝きを想う。

あの素晴らしかった、短い日々の煌めきを想う。

その日々を支えた、素晴らしき男達を想う。

にも関わらず、彼らが辿らねばならなかった、ままならぬ道のりを想う。

願って、努力して、それでも叶わなかった男達の無念を想う。

流した涙、
栄光の男たちをうちのめした苦衷と、彼らの傷つけられた誇り
それらが、いつか報われる日がくるだろうか。

そして、それらの間違いが、二度と繰り返されることがない階梯へとこの球団は上れるだろうか。

いつか出来る日が来ると願う。

【追記】
内容には全然関係ないことですが、本書を読んでいて、一瞬、
怒髪天をつきそうになった箇所があります。本書p230。
内川聖一について説明した文章の一部なんだけど
「・・・・・・更に愛子さまが内川ファンだという報道も出たプロ野球選手。」

敬宮さまと仰い!(怒)

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